
群馬県多野郡神流町の万場(まんば)。利根川の支流 神流川(かんながわ)の上流部に位置する山里です。神流川を挟んで西御荷鉾山(にしみかぼやま)と父不見山(ててみえじやま)が対峙する辺り。谷筋を走る国道462号は上野村に入って299号となり長野県へと延びています。そのくねくねと曲がりくねった谷底の国道を車で走っていると、このあたりの山里は何か殺伐とした感じを受けるのですが、それは私だけでしょうか。夏の暑い時季よりは風花が舞うような寒い時季が似合う土地と思えます。
深く刻まれた谷筋ではあるが、万場の辺りは広く大きな空が見えています、神流川もゆったり流れています。そのせいか、日差しがたっぷり届くのであろう、民家はあまり高いところには並んでいません。普通ならいち早く陽光を受けるであろう一段高い斜面には畑が広がっています。そこを「奴郷平」(ぬごうだいら)といいます。
12月に入って寒風吹きすさぶこの時季。そんな時季が似合うであろう万場の山に出かけました。それは前から楽しみに残してあった桐ノ城山(きりのじょうやま)。奴郷平に登山口があります。桐ノ城山は上の御荷鉾山の稜線から派生する尾根(若神子尾根)の一ピークにすぎません。しかしこの山には名前のとおり城があったといいます。今は消えかかった遺構を残すのみですが、往時は神流川の道筋や、峠を見張っていたのでしょうか。
奴郷平からはしばらく作業道を歩きますが、途中から若神子尾根に乗り、ほぼ忠実に尾根上を行きます。この時季は落葉した木々の間から御荷鉾山や父不見山が見えていおり、足元も明るく快適です。落ち葉にやや足を取られながら高度を上げていきます。若神子山南峰、北峰、石尊山を越え、露岩が現れると桐ノ城山です。山頂は城があったとはいえ、狭く、今は石祠がさみしそうに鎮座するのみです。標高は1041m。展望もありません。なんでこんな高い場所に城があったのか不思議と言えば不思議です。桐ノ城山の位置はすでに御荷鉾山の稜線に近く、あまりアップダウンもなく秋葉峠に至ります。
桐ノ城山で目的は達成したのですが、せっかくなので登り残していたオドケ山に足を延ばしました。御荷鉾山もそうですが、オドケ山も円錐形のきれいな形をしています。遠くから見れば稜線にちょこんと顔を出しているこの円錐形は、名前のとおりまるでお道化ているようである。オドケ山の山頂もただただ石祠があるだけで寒風の吹きすさぶ寂しい山頂でした。この寂しさがたまらないのですが....
オドケ山から稜線にもどって舗装林道を三叉路まで歩き、県道71号高崎神流秩父線で万場に向けて下りました。下降ルートにこの林道を選んだのは、途中にある「電子基準点」を訪れたかったからです。なかなか近くで目にすることのできない電子基準点。いうまでもなく三角点の一種で、標高もさることながら正確な位置をGPSを使って計測しており、日本列島のズレ動きを毎日つくばの国土地理院に報告しているようです。電子基準点を確認した後、林道の続きを歩いて奴郷平の愛車に戻りました。

群馬県多野郡神流町万場上の奴郷平から若御子尾根で桐ノ城山、オドケ山
県道71号高崎神流秩父線で下山。途中電子基準点に寄る
赤実線:歩行GPS軌跡
(国土地理院電子国土地図に情報追加)
主な通過時刻:
万場上の奴郷にある登山口(駐車地) 9:09
若神子山南峰 10:22
若神子山北峰 10:37
石尊山 11:04
桐ノ城山 11:43
秋葉峠 12:08
オドケ山登山口 12:18
オドケ山山頂 12:36
秋葉峠 13:07
三叉路 13:22
みかぼ高原電子基準点 13:48
万場上の奴郷にある登山口(駐車地) 15:06
所要時間:6時間
総歩行距離:14.4km
県道71号の高崎神流秩父線 三叉路から駐車地まで 6.5km 1時間30分

万場上の奴郷にある若御子尾根登山口
車数台駐車可能
すぐ下に四等三角点「奴郷」標高453.76mが見える

登山口から続く砂利林道からの眺め
中央の三角は大ナゲシ、その左が両神山
右奥に大山、天丸山などが見える
よく見るとその手前に叶山(平に削られている)

若御子山北峰付近から石尊山(右)と桐ノ城山(左)

桐ノ城山手前の岩場
クサリやロープがかかっている

桐ノ城山山頂
石祠が鎮座する
桐ノ城跡とのこと

桐ノ城山から稜線に向かって歩くと林道に出会う
林道からオドケ山

オドケ山山頂への道途中で
西御荷鉾山と、奥に東御荷鉾山

オドケ山山頂
石祠が二基ある

国道71号高崎神流秩父線を歩く
三叉路からしばらく下ると御荷鉾高原のホテルやキャンプ場が見えてくる

みかぼ高原の一角に建つ電子基準点
銘板によればデーターを毎日つくばの国土地理院に送っているとのこと
標高 915.937m
標高はセンチメートル級の精度
日本列島のズレ動きを観測しているらしい
(雅熊)