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埼玉県秩父市 安谷川の山径
若い頃に入った山の径を歩くことがある。
山は変わらずにそこにあり、細々と続く径は昔と変わらない。
沢音や鳥の鳴き声。時折、木々を揺らす風。
それらがすべて若い自分がここを歩いた時のままのように思える。
オリンピックのアスリートが世界記録のラインを追いかける映像のように、
私の数秒前を、若い自分が歩いているような錯覚を覚える。
いや、錯覚じゃないかも知れない。
足音が聞こえてくる。
息遣いが聞こえてくる。
その頃の自分は何を思いながらここを歩いたのだろうか。
(雅熊)
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