
こ れはあくまでも想定であり、実際のルートはまったく違う可能性があります。実際とどう違うかに主眼は無く、あくまでもあれこれ想像して楽しむ遊びです。

高圧送電線「新秩父線」の埼玉県秩父市浦山にある53号から56号鉄塔の巡視路がどこに付けられているのか。
先日この辺りを登山のために歩いたときに得た情報をもとに想定してみた(緑線)
登山では、たびたび高圧送電鉄塔の巡視路に出会うことがあります。たとえば「=>新秩父線 54号に至る」などと書いてある黄色の杭で、そこに巡視路があることがわかります。その杭には送電線の名称と送電鉄塔の番号。そしてその方向が書かれています。それは送電鉄塔を管理する会社の巡視員が利用する鉄塔巡視路上で鉄塔の方向を示しています。登山道とは違うため、巡視路を登山で利用することはほとんど無いと思いますが、たまに登山道と巡視路が重なっていることもあります。それは送電鉄塔が登山道のある尾根上に建っていたりする場合です。
バリエーションルート(一般道以外のルート)で登山をする場合、道の無い尾根や稜線を歩いたりする訳ですが、地図を見て、歩く尾根や稜線上に送電鉄塔がある場合、その鉄塔への巡視路があることを期待します。道の無いバリエーションルートを登るとはいえ、尾根の取付き点から送電鉄塔まで巡視路を利用できれば、その踏み跡を利用して登れ、確実に鉄塔までは行けるからです。場合によってはステップが付いていたり、手すりやロープ、クサリなどで補助して安全策が講じられている巡視路もあります。できればそういう巡視路を利用させてもらって、少しでも楽をしたいわけです。
しかし、巡視路の存在を期待して現地に行っても、見つからない場合があります。登ろうとしているルートと、送電鉄塔巡視路の位置が違うからです。登山者が登ろうとするルートと、巡視路の付け方が違うということです。なんとか巡視路の入口を見つけようと、目印の黄色い杭を探し回ることもあります。しかし、簡単には見つかりませんし、あっても随分違った場所のため、登りたい尾根を大きく逸れていたりします。なぜでしょうか。
送電線は多くの尾根や稜線の上空を渡るように張られています。鉄塔を建てやすい尾根のピークなどを選んで、尾根や稜線を跨いでいます。ある尾根のピークから、隣の尾根のピークへというように。このような山内に点在する送電鉄塔を巡視するための道は、当然一般的な登山道とは異なるルートをとります。登山道のように山頂を目指す道ではありません。とにかくそれらの送電鉄塔を効率よく巡視できれば良いのです。そのような鉄塔巡視路は鉄塔より上へは続いておらず、近道や危険のないところを選んで次の鉄塔へと続いています。登山道や、バリエーションルートで山頂を目出すルートとは、目的が違うのです。
前置きが長くなりましたが、送電鉄塔の巡視路がどこを通っているのか、鉄塔の位置から想定し、できれば現地に確認に行くことは、面白く、知的な遊びであり、登山に役に立つ事でもあります。今回は、先日登った「蕎麦粒山北尾根」(仮称)に建っている「新秩父線 54号鉄塔」の巡視路がどのように付いている可能性があるかを想定してみたいと思います。
さて、「蕎麦粒山北尾根」は埼玉県秩父市の浦山の奥にある「広河原谷」の最奥にある尾根です。一般登山道の無いバリエーションルートで、東京都と埼玉県の都県境にある「蕎麦粒山」(標高1473m)から派生する尾根です。浦山の民家のある川俣から「広河原逆川林道」を4.5Km(1.5時間)ほど歩いたところにあります。詳細は以下をご参照ください。
登った当日、54号の巡視路を期待しましたが、我々が取付きたい位置には、黄色い杭は無く、巡視路の入口はありませんでした。この尾根の末端にはP872という、下からは見上げるようなピークがあります。送電鉄塔はそのピークの更に上の尾根上にあります。巡視路はそのような急斜面は普通避けるので、巡視路はないと覚悟し、先人の誘導マーク(赤ペンキ)があったことから、その時は尾根筋を外さないように登ることにしました。
では、「新秩父線54号鉄塔」の巡視路はどこにあるのでしょうか。送電鉄塔が建っているからには、どこかに必ず巡視路があるはずです。そこで当日撮った写真や、Google Earthの登場です。

上の地図のE点
広河原谷逆川林道のヘアピンカーブのところにある鉄塔55, 56号への案内杭
朽ちかけた木橋で道が奥に入っている
白いテープに何か書いてあるが見落とした
まず上の写真のように広河原逆川林道のヘアピンカーブのE点に、鉄塔55,56号への巡視路入口があることがわかります。55,56号への巡視路も実際にはまだ歩いていないので想定ですが、地図に緑線で想定してみました。おそらく子尾根に沿って登り、55,56号を巡視した後、仙元尾根の一般道を下降して、尾根の下方にある57,58,59,60号鉄塔を続けて巡視するようになっているものと思われます。

蕎麦粒山北尾根と送電鉄塔54号、53号等の位置関係
尾根取付き点には巡視路の入口は無かった
A点をGoogle Earth のストリートビューで見ると巡視路案内杭のようなものが立っている(下の写真)
Google Earth 3Dで作成

A点をGoogle Earth ストリートビューで見た画像