
関東はまだ梅雨入りしていません。このところ晴れが続いています。梅雨ではないといっても貴重な晴れですので、このチャンスを逃さず出かけることにしました。今回は群馬県下仁田町の更に奥。荒船山手前の物語山に登り、バリエーションルートで樽ノ上山、トヤ山と辿ってみることにしました。下山は以前試して確認している送電鉄塔巡視路を使い、荒船湖に下りました。
このバリエーションルートは地味な尾根筋をたんたんと歩くルートですが、どちらかというと木々の葉が芽吹く前または、芽吹いて間もない3、4月頃が適しています。つまり見通しが効き山内が明るい早春に歩くのが適していると思いますが、時間がかかるのを想定して、日の長い初夏を選びました。初夏の今頃は木々の葉っぱも出そろい、山中は幾分暗くなりますし、遠望もほとんど効かなくなります。
物語山までは一般登山道ですが、そこから南下して樽ノ上山まではバリエーションルートです。樽ノ上山からトヤ山までは幾分踏まれてますがこの間もバリエーションルートと言えます。トヤ山からは黒滝山不動寺からの道が合流し、昔、荒船山まで続いていた登山道が現れます。ただこの道は利用者が少なくいずれ消えていく運命かもしれません。
送電鉄塔の巡視路も一般登山道ではありません。しかし巡視用ですので定期的に歩かれていると期待できますし、部分的に階段状や鎖の手すり等が設置されています。今回下山に利用した巡視路は途中から沢に降りるので大雨などの跡は避けるべきと思いますし、部分的に崩壊が進んでいる箇所もありますので利用は要注意です。
国道254号で下仁田町を抜け、道平川ダム(荒船湖)の入口に入ります。すぐに右手にサンスポーツランドの駐車場がありますので利用されていただきました。阿唱念ノ滝方面に進むと林道が物語山方面に続いています。幅広ですが砂利の林道です。奥へ進むと細くなります。看板があるので小沢を渡って登山道に入ります。
板状の岩が累々と重なる急斜面で一汗かけば物語山西峰と本峰の鞍部に登り着きます。左の西峰へは5分ほどです。山頂からは北側に若干展望があります。鞍部にもどって本峰に登ります。山頂部の少し左手に三角点があります。ここの三角点は三等三角点で、点名は「帝釈山」です。本峰から南へいよいよバリエーションルートの始まりです。
傾斜の緩い尾根筋を下ります。藪はうるさくはなく、歩き易い尾根筋です。樽ノ上山までは総じて左側が急な崖になっていますので足を踏み外さないよう要注意です。尾根上にはあまり目印になるようなものはありません。青布のリボンがありますが、間隔が広すぎてあてにはなりません。GPSがあるとは言え、ルートファインディングが必要です。
ルート上に困難な露岩や岩塔などはありませんが、下降できない部分は右側を巻く踏み跡がありますので、下降できなくなったら少し戻ってみるようにすべきです。途中一か所急な岩壁があります。今回は直登しましたが、バランスを要求されるので、右側に大きく回り込んで上に出たほうが良いかもしれません。
樽ノ上山はルートから少し東に外れたところにあります。展望もありませn。樽ノ上山からトヤ山までは平凡な尾根筋です。トヤ山は展望がよい小ピークです。これまで歩いてきた物語山から樽ノ上山までの尾根筋が見渡せます。荒船湖も見え、これから下山に利用する尾根、送電鉄塔なども見えています。
トヤ山から進むと西側は急な斜面になっており、下るのは要注意です。滑りやすい草付きです。下り終わると黒滝山不動寺からの道が合流し、「黒滝山不動寺 <-> 荒船山」と書かれた古い指導票が立っています。そこからしばらく立派な登山道が続き、やがて小広い送電鉄塔81の基部に出ます。さらに進むと送電鉄塔79, 80への巡視路入口の標が立ってます。
落ち葉を踏んで尾根に入ります。徐々に高度を落とし完全に尾根に乗ると、ところどころプラスチックの階段が設置されています。チェーンの手すりもあります。途中送電鉄塔80への下降点がありますが、ここは降りません。引き続き尾根を下ると送電鉄塔79が見えてきます。ここから下の暗い沢筋向かって降りてゆきます。
沢筋を落ち葉のトラップにはまりながら歩くと右から降りてきた尾根に回り込み、滝横の大きな岩壁につけられたチェーンの手すりで再び沢床に降り立ちます。明確な道も現れ少し進むと手掘りのかわいいトンネルが口を開け、向こう側から光が差し込んでいます。くぐって斜面を下ると林道に降り立ちます。荒船湖の左岸の道をてくてく歩いて駐車場に戻りました。
物語山からトヤ山までのバリエーションルートは大きなアップダウンは無いもののこの時季展望はほぼ無く、淡々と尾根筋を拾いながら歩くルートです。危険なところはありませんが、ルートファインディングが必要、エスケープルートもありません。
下山に利用した送電鉄塔巡視路は台風の影響などで荒れているかと心配しましたが、以前とあまり変わっていませんでした。ただ、一般的な下山道と比べたら多少荒れているのは仕方ありません。ルートの見極める目が必要です。

サンスポーツセンター駐車場から物語山、樽ノ上山、トヤ山
送電鉄塔巡視路で荒船湖へ下山
赤実践:GPS歩行軌跡
(国土地理院電子国土地図に情報追加)
主な通過時刻:
サンスポーツセンター駐車場 7:46
林道終点(物語山登山道入り口) 8:36
物語山西峰と本峰の鞍部 9:13
物語山西峰 9:18
物語山本峰 9:41
樽ノ上山 12:45
トヤ山 13:37
送電鉄塔巡視路入口 14:10
送電鉄塔79 14:53
手掘りのトンネル 15:58
道平川ダム 16:48
サンスポーツセンター駐車場 17:10
所要時間:9時間
総歩行距離:15.3km

サンスポーツセ ンター駐車場
奥にも駐車場がある

物語山登山道入り口
小沢を渡って尾根に取付く

物語山西峰と本峰の鞍部
西峰は左へ5分

物語山西峰からの眺め
北西方面

これから歩く尾根筋を眺める
左端が樽ノ上山

タツナミソウ
株は小さいが群生していた

樽ノ上山山頂
展望はない

トヤ山から歩いてきた尾根筋を眺める
中央に物語山(メンベ岩も見えている)
右の丸いピークは樽ノ上山
左端に荒船湖

トヤ山の西側
黒滝山不動寺からの道と合流

送電鉄塔巡視路79, 80入口
落ち葉を踏みながら斜め奥へ

送電鉄塔79
歩いてきた尾根が見えている

送電鉄塔巡視路の終わりは手掘りのトンネルで林道側に抜ける

荒船湖畔から振り返る
左から送電鉄塔81, 80 , 79, 78
(雅熊)