
投稿日 2018年04月30日
おばぁちゃんちょっと待ってよスミレ咲く
(おばあちゃんちょっとまってよすみれさく)

スミレの中でもタチツボスミレは小さい頃から知っていた。小学校3,4年だったろうか。
理科の教科書だったか、スミレの写真や絵が載っていたいたが、それは細い葉っぱで凛と立ついわゆる「スミレ」だった。「こんなスミレどこに咲いてるのかなぁ」と思いつつも、都会から少し離れた郊外の田舎では、目につくのはタチツボスミレばかりだった。(名前を知ったのはずっと後だと思うが)
郊外のおじさんの家に同居していたおばぁちゃんに、私はよく預けられた。春休みや、夏休みに一週間くらいおばぁちゃんと過ごした。どこかに出かけるわけでもなく、私と少し年下のおじさんの子がよい遊び相手だった。
おばぁちゃんが連れて行ってくれるのは、決まっておじいちゃんのお墓で、数キロ離れた山裾の藪の中にあった。そこまで登り下りの道をてくてく歩くのである。
田んぼのあぜ道を通り、小川の石橋を渡り、清らかな水がキラキラと音をたてて流れる導水路脇の急斜面を登った。
おばぁちゃんは小さなヤカンと花束を持ち、私の手を引いて歩いてくれた。今でもそのやわらかな手を思い出す。
たびたび立ち止まって橋の下を覗き込んだり、溝の水流で遊んだり、斜面のスミレを見ている私を、いちいち立ち止まって待ってくれることはなく、どんどん歩いて行ってしまう。
(熊五郎)
コメント(2)
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風景画目に見える様です。のどかでよかったdすね。私はスカンポかじったり、つつじの三つ蜜を吸ったり情けないほど飢えてていた時代ですから。 (agewisdom) 2018/4/30(月) 午後 3:54
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> agewisdomさん 都会生まれですが、小さいときはよく田舎で遊びました。いまではそれがいい経験と思い出になっています。(熊五郎) 2018/4/30(月) 午後 4:49