

私は20代前半のまだ若いころ上越線のある駅に降り立った。
山に入るためである。
その駅で女子高生に出会った。
バスの出発を待つための待合室での偶然の出会いだった。
女子高生が山姿の私に、「どこの山に登るんですか」と声をかけたのだ。
それだけでも珍しいことなのに、その後意気投合し、私は最後に自分のペンダントを渡して別れた。
時は過ぎた。
私は結婚し娘を授かった。
やがて娘は小学校に通い、友達ができた。
ある日、妻とも仲のよい、その友達の母親と逢う機会があった。
逢って私はおどろいた。見覚えのある顔と聞き覚えのある声。
その女性は、あの時の女子高生、その女(ひと)だったのだ。
彼女は胸のペンダントを握りしめて、その後の自分の境遇を話し始めるのだった。
.....
目の前を急いで通り過ぎた人
しがみつこうとした
でも、あれでよかったのよ
はやく忘れようと思ったけど
このペンダントが許さない
ことしもあのときのように雪が降る
どうか消してよ
わたしのロマンス
いつもわたしの胸にあった人
どんな境遇になっても
ぜったいに忘れることはないわ
あの待合室はいまもあるわ
あなたがすわった場所
いまでも、あなたの幻が見える
今も信じているわ
わたしのロマンス
わたしいまは幸せよ
だけどひとつ心残り
このまま時が過ぎていくのね
あの日が今もわたしを苦しめる
運命のときは突然に
いたずらをするわ
いまも胸にある
わたしのロマンス
白いドレスの大橋純子が歌う「シルエット・ロマンス」でも聴いてみるか。
(熊五郎)
コメント(4)
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……。 (agewisdom) 2017/11/21(火) 午後 11:22
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> agewisdomさん ロマンスが蘇ったでしょうか。(熊五郎) 2017/11/22(水) 午前 1:17
熊五郎さん!ご無沙汰しております(^^;) とてもいい話に感動です 熊五郎さんの実話なんですか?^^ [ ふくまつ ] 2017/11/23(木) 午前 2:17
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> ふくまつさん ありがとうございます。80%くらい実話です。ペンダント当たりはアレンジしてあります。(熊五郎) 2017/11/23(木) 午前 8:10