top of page

谷川岳 白毛門沢の遡行 2016年09月10日 快晴 2名

投稿日 2016年09月12日

 

お盆が過ぎ、8月の下旬から9月にかけて、ここ数年、毎年のように微妙な天気予報が続き、沢の遡行に好期のこの時期に、なかなか決行の決心が付かなかったが、なんとか晴れ間を見つけて、念願の遡行に出発とあいなりました。

 

ターゲットは宝川温泉からのナルミズ沢を考えていたのですが、そのアプローチの長さ、林道の荒廃など、いろいろ考えているうちに、アプローチゼロの白毛門沢に計画を変更。いつものように熊谷のYさんと出かけました。

20160910_白毛門沢01.jpg

(画像を一度左クリックし、次に右クリックして新しいタブで画像を開いて拡大してご覧ください)

白毛門沢

距離(駐車場 - 白毛門山頂) 3.4km 標高差1030m

(国土地理院電子国土地図をカシミール3Dでカットし情報追加)

 

通過時刻 (おじさんタイムです)

駐車場 07:47

ハナゲの滝 08:30

白毛門沢出合 09:00

大滝(タラタラノセン)10:30

二俣 11:42

白毛門山頂 14:20

松ノ木沢の頭 15:50

駐車場 18:20

 

 

白毛門沢は、谷川連峰の東端、JR上越線土合駅に最も近い山、白毛門(標高1720m)の南斜面を削る沢です。遡行対象として人気のある沢で、グレードは初級(2級)ですが、その狭い沢筋に滝が連続し、ナメ床を水が滑り落ちる美しい沢です。

20160910_白毛門沢02.jpg

東黒沢 ハナゲの滝

傾斜は緩い

左端を登り、落ち口手前で左の藪に入る

 

この沢の特徴は核心部にある大滝(タラタラノセン)もさることながら、標高1720mの白毛門の山頂にまで達する一条の沢筋であることです。

 

この沢は水量の多い東黒沢の支流とも考えられますが、東黒沢は標高約1350mの鞍部に源があり、標高差は660m。距離は4.1kmで源頭部で水流は深い藪の中に消えるのに対して、白毛門沢は、標高差1030m、距離3.4kmと、距離が短い割に標高差があり、源頭は傾斜のきつい草と露岩の斜面で、藪こぎなく直接白毛門の山頂に至ります。短距離で標高差1030mを駆け上がる急峻な沢であることが分かります。

 

関連記事:谷川岳 東黒沢、ウツボキ遡行

20160910_白毛門沢03.jpg

白毛門沢出合

右が東黒沢 正面が白毛門沢

 

この日は土曜日とあって駐車場はほぼ満車。ほとんどの人は一般道を白毛門、朝日岳方面へと登ると思われます。我々は東黒沢にかかる橋の手前の右奥に入る道を辿り、ほどなく河原に降り立ちました。そこで遡行用の靴に履き替え、ゴーロ歩きから始まります。

 

しばらく行くと、すこしナメ状の川床となり、滑るように流れる水を見ながら快適に進みます。沢床は大きく湾曲し、右上に切り立った岸壁を見て、ハナゲの滝に到着。前回東黒沢を遡行した時よりも水量は少し多めでした。きれいなナメの岩肌を水が広がって流れ落ちるさまは雄大です。

20160910_白毛門沢04.jpg

大滝(タラタラノセン)

高巻の途中から

 

ハナゲの滝は傾斜が緩いので左端をフリクションを効かせながら登ります。落ち口の手前で左の藪に踏み跡が入るのでそのまま辿ると、すぐ上で水流の脇に降り立ちます。やがて白毛門沢が左から合流します。白毛門沢と東黒沢の水量比は1:3と言われますが、この日は1:2くらいだったでしょうか。一旦東黒沢に入って対岸に渡ってから白毛門沢に入ります。

20160910_白毛門沢05.jpg

二俣で昼食

 

 

白毛門沢に入るとすぐに狭くなり滝が現れます。上流部は少し順層ぎみになるものの、下流部から中流部は逆層ぎみなので要注意です。

 

小滝、ナメ滝、数メートルの滝など、休む暇なく滝が現れます。ゴーロ状など、河原歩きのようなところはほとんどなく、両壁迫る細い沢筋を水が流れています。

20160910_白毛門沢06.jpg

二俣の少し上の特徴ある色の岩にて

白毛門山頂部が見える

このような色の岩は東黒沢にも現れる

 

大滝は遡行図によってはタラタラノセンと記されています。最初の段は右を登れなくはないように見えますが、滝手前左のルンゼの踏み跡を辿って高巻きました。藪の中のあまりはっきりしない踏み跡を辿り、途中踏み跡を見失って高く登りすぎましたが、少し降りて再び踏み跡を見つけ、草と泥のぬかるみの斜面から沢床に降り立ちました。

20160910_白毛門沢07.jpg

源頭部

草付きと露岩の急斜面

 

すぐにまた大きな滝が行く手をさえぎりますが、その上方に大きなナメと三平岩 (沢床に鎮座する大岩。落語家の三平師匠に似ている)が見えました。とりあえず目の前の滝をやり過ごすため、右側の踏み跡を登ってガレ場上の草付きから藪に入って、すぐ滝の落ち口に降り立つと予想して高巻きました。

20160910_白毛門沢08.jpg

草付きと露岩の急斜面を登るYさん

 

ところが行けども行けども沢床に降りる気配がなく、そのうち滝の音も小さくなってきて、踏み跡を見失ってしまったので、適当に沢に近付くように進み、最後が岩壁になっていないことを祈って、沢床めがけて降りました。幸い大したことなく、雑木をつかんで強引に沢床に降り立つことができました。降り立ってみると、そこはすでに三平岩も見えないほどの上の位置。高巻きし過ぎの失敗でした。

20160910_白毛門沢09.jpg

白毛門山頂直下から白毛門沢を見下ろす

出っ張りはジジ岩(左)とババ岩(右)

 

そのあと少しずつ水量が減り、右から滝で枝沢が合流(水量比は1:1)する二俣に到着。ここで昼食としました。二俣からは白毛門の山頂や源頭部が望めます。

 

さらに小滝が続き、徐々に源頭の様相濃くなり、水流も少なくなって、ジジ岩が左前方に大きな姿を表します。この辺りでは岩肌を流れる水は温められてすこしぬるくなっていました。やがて沢筋は溝のようになり、階段状の岩を何度ものり越え、傾斜のきつい露岩と草付きの斜面をひと頑張りで白毛門山頂の脇に出ました。

20160910_白毛門沢10.jpg

松ノ木沢の頭から白毛門

中央、左がババ岩、右がジジ岩

遡行ルートはジジ岩の右側斜面

 

山頂で着替え、コーヒーを沸かして一息つき、一般道を下りました。あまりに疲れたせいか、胸やけで少し苦しく、おまけに過呼吸となって途中で休憩。全力疾走した時のような息づかいがしばらく続きましたが、栄養素がなにか欠乏したのかも知れないと、相棒のYさんからビタミン剤をいただいて飲み、しばらくして気分がよくなったので、下山を再開。やがて息づかいも胸やけも治って、逆におしゃべりをしながら歩ける位に回復。ただし疲れは普通の登山とは違うので、事故の無いようゆっくりの下山を心がけました。

20160910_白毛門沢11.jpg

一般道からの白毛門沢

大滝(タラタラノセン)が見える

 

もうすぐ駐車場というところであたりは暗くなり、ヘッドランプを点けて歩きました。駐車場には6時20分に到着。無事の下山を喜び合って、谷川温泉の湯テルメでさっぱりして帰途に着きました。Yさん、ありがとうございました。

 

久しぶりの沢の遡行で、体も忘れていたのか、後半は少しスタミナ切れ。おまけに過呼吸という経験の無い症状が出たので、ちょっと驚きましたが、今後は歳をわきまえての行動が大事と、少し反省した次第です。

(熊五郎)

 

コメント(2)

  • 大事に至らなくてよかったですね。無理なさらなければ長く登れますものね。ブロ友マックさんは私と同じ79歳まだまだ登山なさっていますよ。 (agewisdom) 2016/9/12(月) 午後 1:50

  • いつまでも若い気でいると... ってことですね(笑)。無理せず頑張ります。(熊五郎) 2016/9/13(火) 午前 6:52

     

jf1vrr(AT)jarl.com

本サイトの文章や写真などには、一部の引用を除いてすべてに著作権が設定されています。

Copyright (C) 2007 - 2024 Kumagoro & JF1VRR All Rights Reserved.

​このサイトはWixを使用して作られています。

bottom of page