

CQ出版トライアルシリーズ「デジタル周波数シンセサイザ基板」と付属基板
SMAコネクタは後で取り付けた
オプションでベース基板(LCDとプッシュボタン)、ログアンプ、
プログラマブルアッテネーターが用意されているが、
この基板だけで任意周波数発振器として十分使える
CQ出版トライアルシリーズ付属の「デジタル周波数シンセサイザ基板」にあらかじめ書き込まれているファームウェアはUSB COMポートからのコマンドで任意の周波数を発生できるようになっていますが、今回はファームウェアを書き換えて、VFO(Variable Frequency Oscillator )に仕立ててみました。
「デジタル周波数シンセサイザ基板」はDDSチップのAD9834を使用したシンセサイザー基板です。DDSの制御にはPICマイコンの18F14K50が使用されています。ほか、LDOによる電源ノイズ対策、75MHzのXTAL発振器、25MHzのLC LPF、AD8051出力アンプ、50Ωで+3dBm出力など、使いやすくまとまったDDS基板になっています。
PICマイコンのファームウェア書込みはICSPのピンが立てられるので、書き込み器のPickitなどで行えます。使用言語はC言語で、コンパイラ(XC8)や開発環境(Mplab IDEなど)はMicrochip社のホームページから無償でダウンロードできます。
「デジタル周波数シンセサイザ基板」の仕様は以下の通りです。今回作成したVFOは、この基板をベースに、PICの空きピンを利用して、LCDの表示画面を追加し、ロータリーエンコーダーのつまみで周波数を可変できるようにして、ケースに収めたものです。
発振周波数範囲 50 - 20MHz (実際には25MHzくらいまでOK)
出力 SMA 50Ω +3dBm(2mW) 正弦波
フィルターカットオフ周波数 25MHz
周波数可変ステップ 1Hz
変調 なし
電源 DC 5V

「デジタル周波数シンセサイザ基板」で作ったVFO
455KHzを発振中
プッシュボタンで変更する桁を指定し
つまみで周波数を変更する
電源は5V USB ミニBコネクタで供給
出力はSMAコネクタ

TinySAでスプリアスを観測してみた
455KHzを発振中
信号レベルは+3dBm辺りを示している
このVFOの用途は、
ラジオのIFT調整などの信号源 (455KHz)
オーディオアンプ等の調整 (50Hz - 20KHz)
様々な高周波実験 (1MHz - 25MHz)
アマチュア無線機のVFO (ex 5MHzや7MHz ミズホVFO-5/7Dの代わり)
ちょっと特殊な周波数が必要な場合の信号源 (50Hz - 25MHz)
スプリアス特性はまずまずと思われます。簡単な出力周波数の確認は、たとえばAMラジオで放送局のキャリアとビートをとることで確認できます。関東のNHK第一放送 594KHzであれば、VFOの出力に適当なワイヤーをつないでラジオの近くに垂らしておき、595KHzを発振させて、1KHzのビート音が聞こえればOKとなります。
AD9834の制御の仕方は書籍トライアルシリーズ「デジタル周波数シンセサイザ基板」に詳しく説明されていますので省略します。

10MHzを発振中
LCD画面の”v”は、ツマミを廻すと変化する桁を示す
出力レベルはほぼ+3dBmを示す
第二、第三高調波とも良好

25MHzを発振中
出力レベルはほぼ+3dBmを示す
第二、第三高調波とも良好

455KHzの発振波形
50Ωで受けてオシロで観測
出力 0.33V (+3dBm Vrms 0.316V)

1MHzの発振波形
50Ωで受けてオシロで観測
出力 0.33V (+3dBm Vrms 0.316V)

20MHzの発振波形
50Ωで受けてオシロで観測
出力 0.174V 諸要因で減衰している
(JF1VRR)